大阪・関西万博「ヨルダン館」で「マインドフルネス瞑想体験」が開催されました。
人は知らず知らずのうちに、時間や出来事に追われ頭を働かせています。その慌ただしい日常が、ストレスとなって心身の健康を脅かしていることもあるのです。
このたびヨルダン館では、フリーアナウンサーでマインドフルネストレーナーとしても活躍される内田恭子さんをお招きし、「マインドフルネス瞑想体験」を指導いただきました。
砂漠での瞑想体験について、またこの体験から得るものについて、お聞きしました。
EXPO2025 OSAKA
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今回のイベントでの「マインドフルネス」とはどのようなものなのでしょう。
内田氏 今回「ヨルダン館」でみなさまにお伝えするのは、「今この瞬間の感覚を大切にし、意識を集中させましょう」ということです。
人には五感があり、五感で感じたことを長期的に記憶することが、研究でも実証されています。たとえば、小さい時に見た夕日、一所懸命に新しいことに挑戦した経験などは、大人になっても深く心に刻まれています。
ところが、今の時代は時短が優先されるなど、なかなかひとつのことに集中できません。つい、今後の予定や明日の仕事について考えたり、昨日の出来事を思い出したり。今この瞬間に生きているのに、過去や未来のことばかり考えてしまう。今回のイベントでは、それらを手放し、「今を感じる」ことを、みなさんに体験していただきます。
具体的には、どのような体験をするのですか。
内田氏 ヨルダン館の「砂漠ドーム」には、本国の「ワディ・ラム砂漠」から運ばれたサラサラで美しい砂が敷き詰められています。その砂漠のなかで、何もせず、自身の五感をつかって砂漠を体感してもらおうというイベントです。素足で砂漠に座り、夜空を見上げる、ホワイトセージの香を聞くなど、いずれも自身の五感を使うことです。そこにある感覚に集中できれば、働きづめの脳を休め、ヘルスケアに繋がるのです。
マインドフルネスによって、体調や生活、人生も変わりますか?
内田氏 もちろんです。瞑想などマインドフルネスを体験すると、仕事に戻ったときに集中力が高まります。心身の健康にも良い影響があります。脳を休めることで、疲労やストレスが軽減され、自分の体調や感情の変化に気づきやすくなります。つまり、より良い自己管理につながり、豊かな生活や人間関係、人生に繋がっていくのです。 昔の日本人は、それを当たり前のようにやっていました。床の間にかかるお軸を読み解き風情や意味を感じる。着物を羽織るときもそうです。体で着物の感触を感じていたでしょう。自分の呼吸や感覚を使うことが、日本人は得意だったんです。 現代社会では、こうした感覚を忘れてしまいがちです。意識的にマインドフルネスを取り入れることで、そのような感覚をとりもどせます。
この体験を生かし、日常で私たちができることはありますか。
内田氏 決して瞑想だけがマインドフルネスではありません。一杯のお茶を飲むときに、器の感触や、口にいれたときの温度、お茶が喉を通る感覚や香を感じる。一杯のお茶としっかりと向き合うことで、その瞬間、マインドフルになれます。疲れた脳を休めてあげることができるのです。 初めての場所への旅などもそのひとつ。どんな場所だろう、どんな人がいるんだろう、触ってみよう、食べてみようと思いますよね。新しい場所、人や文化に触れることは五感を研ぎ澄ますことにつながります。美しいものを見たり、美味しいものを食べたりするときに、ただ消費するのではなく、その瞬間をじっくりと味わっていただきたいですね。
ヨルダン館について、感じられることはありますか?
内田氏 最先端の技術を打ち出すパビリオンが多いなか、ヨルダン館は「素足でどうぞ」 「音や砂、香りに触れてください」という体験ができるところ。 なんて癒しのパビリオンだろうと思いました。 ヘルススアは、最先端の技術だけでなく、実は自分の感覚に戻ることが大きいのです。
内田恭子(うちだきょうこ)
アナウンサー・MBSR/MBCTL講師・マインドフルネストレーナー ドイツデュッセルドルフ生まれ。アメリカ・シカゴ、横浜で育つ。 慶應義塾大学商学部卒業後、フジテレビアナウンス室に入社。退社後、以前から興味のあった心理学を学ぶ中でマインドフルネスに出会う。企業や教育現場、一般向けにレッスンを開くほか、NHK出版のデジタルマガジンで「ここからはじめるマインドフルネス」を連載。音声配信サービスVoicyでは、「内田恭子のゆるんでいきましょう」を開設している。 国際基準のMBSR、MBCTL講師。 日本マインドフルネス学会正会員。 MBSR(マインドフルネスストレス低減法)IMA認定講師 MBCTL(マインドフルネス認知療法)Oxford Mindfulness認定講師 子供のためのマインドフルネス講師(Eline Snel method)